2017年に観た映画ランキング
現時点で2017年に観た映画の数は、劇場が21本、BD/DVDが220本ほどだ。大体例年通りの数。以前にも何度か書いているが、劇場が少ないのは、劇場ならではの大画面、音響などの理由でSFやアクションに絞っているからで、ミステリーやドラマなどは家でジックリ観たいのが理由である。そもそも人の多いところに出るのが苦手でもある。
さて、今年も劇場版から個人的Best3と、BD/DVDの中から初見のものを3つ挙げてみよう。
【劇場】第3位 ワンダーウーマン
「スパイダーマン ホームカミング」とちょっと迷った。スパイダーマンも「今までにないスパイダーマン」で、ドラマ性の高い部分をだいぶ削ぎ落としていて最初は不安だった。そもそも、ヒーローものには少ないその部分が割と好きだったんだけど、今回のスパイダーマンも実際に観てみると悪くない。基本的に明るくてカラっとしたスパイダーマンも良い感じ。
結局選んだのはこちら。ワンダーウーマンは「スーパーマン VS バットマン」で既にその姿を現したキャラクターだが、今回はその出自から描いていて、むしろこっちを先に上演した方が良かったんじゃ?と思えた。一番魅力的だったのは、やはりエキゾチックな美女、ガル・ガドットのその存在感の大きさだろう。クリス・パインも久し振りにスタートレック以外の映画で良い感じに演じているなと思ったが、それでもそこに立つだけで光り輝くようなガル・ガドットの魅力には勝てなかったと思う。
【劇場】第2位 SING
子供向け?イヤイヤ、そんなことを限定してしまうのはもったいないだろう。大人が観ても楽しめて感動して考えさせられる映画だったと思う。個々の魅力的なキャラクターも良いし、この手の映画に多い「クスリと笑えるシーン」が本当に巧いと思う。間とか表情、仕草などが、言い方が悪いかも知れないが「日本映画にはちょっと無い面白さ」がある。
【劇場】第1位 スターウォーズ 最期のジェダイ
これはもうなんというか・・よっぽどの駄作でないと、個人的には不動と言っても良い。自身の人生の中で、映画の偉大さを感じさせ、これほど映画に対する興味をかき立ててくれたものはないだろうし、人生への影響も大きかったと思う。大袈裟ではなく。もちろん、好みの問題もあるし、今回は色々と盛りだくさんでエンターテインメントな要素が多く、賛否両論であることも理解できる。しかし、やっぱり僕には特別な映画なのだ。
それではBD/DVDの順位に行こう。これは、公開が今年ではないものも当然あるが、あくまで初見で面白かったものだ。
【BD/DVD】第3位 君の名は。
今ひとつ劇場にまで行く気がなくて(そもそも騒がしいところは苦手だ)、結局、BDで観た。話題作であり大ヒット作であることもあって、「観ておかなくは」という半ば使命感に似たようなものがあったのは否めない。だが、実際に観てみるとなかなか良かった。あれほど宣伝されていたのに、前知識がほとんど無かったことも幸いしたかも。
設定的には様々な映画でやられたことを組み合わせただけ・・なんて言う人もいるかも知れないが、男女の身体が入れ替わった時の細かい所作が面白おかしく描かれている。この点は尾美としのり&小林聡美の「転校生」を思い出させるが、それが現代版になったような感じだろうか。その上、それぞれの入れ替わる時期が違うという設定を加え、流星の落下をイベントにしたのが面白いと思った。時期を変えるある種のタイムスリップものとしては、「イルマーレ(韓国版、リメイクした米国版)」がよくできていた。あれに似たテイストにコメディ要素を加えた感じがした。
絵も美しく、個々の感情の変化、細かい設定の巧さ、流星とイベントも盛りだくさん。しかも分かりやすい。なるほどヒットするわけだ・・と思った映画である。
【BD/DVD】第2位 ハドソン川の奇跡
実は、もっと違う話だと思っていた。旅客機がトラブル、機長のトム・ハンクスが見事にハドソン川に不時着するというサスペンスものかなと。観てみると全然違った。ハドソン川に不時着するという機長の判断が、正しいものだったのか否か。家庭の事情から、その適正を疑われ裁判にまで発展するこの事態を、見事に収束させていく段階が観ていて気持ちいい。
映画そのものが短く、簡潔に伝えたいことが表現されているのも見事だと感じた。これ、実話なんだよね?確か。
【BD/DVD】第1位 英国王のスピーチ
まあ、コリン・ファースのファンだから観た・・ってのが最初。で、観てみたら良かったってわけだ。こういう映画を発掘した?みたいなの好き。もちろんオスカーにノミネートされるくらいの話題作でもあったわけで、その存在を知らなかったわけじゃないんだけれど、劇場で見るよりは自宅でジックリ観たかった・・というのもある。観るのが遅くなったのだけれど、今年の最初にやっと観ることができた。
これも史実に則った物語のようだけれど、吃音に悩む次期英国王のコリン・ファース演じるジョージ6世と、言語療法士のライオネルことジェフリー・ラッシュのやりとりが、実に人間的で温かく、さらにユニークで良かった。
ジョージ5世の崩御、そして次に即位したエドワード8世の醜聞と、突然の退位。そして即位したジョージが大戦を前に、吃音でまともに演説もできないのでは国家の士気にも関わるわけだ。この時代に平民と王室との交流が、こんなに心温まる友情で結ばれていたことに驚き、それを演じるコリン・ファースと、とりわけジェフリー・ラッシュの飄々とした演技が素晴らしかった。吃音を治すための、ちょっと奇抜と思えるアイディア、そしてなによりも、この当時にしてそれぞれの立場という高い垣根を飛び越えた二人の友情・・と書くとちょっと照れくさい感じだが・・に感動した。正直に言えば、観る前には物語の概要を見て食指がいまひとつ伸びなかったのだが、観て良かった。やっぱりこうやって先入観を持たず、とりあえず一定の評価を得た作品はちゃんと観ておくべきだなぁ・・と改めて感じた一作でもあった。
さて、他にも観たかった劇場映画もこの先にBD/DVD化もされるだろうし、新作の予告もガンガン始まっている。今回は紹介しなかったが、オスカーにノミネートされた「ライオン」や「ムーンライト」も良かったし、ロビン・ウィリアムズの遺作となった「余命90分の男」、更に今更だが昔の邦画で、伊坂幸太郎さん原作の「アヒルと鴨のコインロッカー」も良かった。こちらは「ゴールデン・スランバー」も好きな作品だ。小説とは微妙に変えたアレンジが良い感じで映画として美しく収まっている。他にも、もっともっと紹介したい映画もあったのだが、まあ、全部書くわけにもいかず、とりあえず2017年に観た映画で良かったランキングを挙げてみた。来年も新作目白押しで、今から楽しみで仕方がない。きっとまた、人生に大きな足跡を残してくれる映画に出会えるのだろうね。