南瓜の馬車 〜いいわけでも許して〜

猫とガジェットと映画と小説の毎日です。

古いレコードのデジタル化をしてみた

さてさて、ちょっと前に山口美央子さんの「月姫」のCD化希望!なんてエントリーを書いたけれど、年末年始の帰省で、案の定、自宅でレコードを発見。

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んじゃこれをデジタル化してみよう。

レコードプレーヤーの購入

まずはレコードプレーヤーが無ければ話しにならない。ネットを探してそれほど高価でないものを購入した。なにしろ使い勝手を考えると普段から常用するものじゃないし、そもそもレコードなんていまや数枚しか持っていない。

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で、これを買ってみたのだが、実際にレコードを聴いてみると・・音、凄く良いじゃん!レコードってこんなに良い音がしたのか。そう考えるともう少し良いプレーヤーを買っても良かったのかも?なんて思ったりもしたが、まあ、基本的にCD音質で十分なわけで今回はこれでやってみることにした。

まずは汚れたレコードの洗浄

まずは、あまりに古いレコードでやっぱりノイズが入る。よく見るとカビ?なのか分からないけれど、少し黒ずんだ縞模様のようなものがある。んー、こりゃ洗浄かな?

と言うことで洗浄してみた。

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色々と調べてみて、結局、ブラシが極細の歯ブラシに、水で薄めた中性洗剤を使って洗浄。後は完全に乾くまで待ってみた。

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結果、これで再生してみたがノイズはほぼ壊滅。「ほぼ」と書いたのはあまりに昔のレコードで、若干のキズがあること。これはどうしようもないと言うことで諦めた。

エンコード用デバイス

これは市販のもので迷ったあげく、それほど高価ではないので2種類を購入してみた。ひとつはこれ。「I-O DATA AD-USB」。ただしWindows専用。ちなみに、MacBookAirにインストールしたParallels Desktop上のWindows7で問題無く使うことができた。

この製品が良いところはキャプチャしながらラインアウトで音を確認できること。これが意外に便利だ。

www.iodata.jp

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もう一つはMacでも使えるらしいと言う情報があったので、「Princeton PCA-ACU」も購入してみた。こちらは上位機種らしいものもあるのだが、今回は44.1KHzのWAVファイルにするだけなので一番安価なものを選択。

www.princeton.co.jp

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エンコード開始!

さて、まずはどのファイル形式を選ぶか。基本的にハードウェアの制約に縛られることがあるのであまり高いビットレートは望めない。それに基本的に使い方がポータブルがほとんどなのでCD音質の44.1KHz/16bitのWAVファイルにした。ハイレゾにするとX5 2nd側でイコライザーが使えない事情もある。元音として高音質にすることも考えたが、あまり使う用途が思いつかなかったこともある。

 

エンコードには付属のものとMac用の無料アプリを使ってみた。Windowsは付属のもので、「Pro Sound Ripper」。Macは無料版の「WavePad」で試してみた。

www.nch.com.au

 

エンコードの過程は以下のようになる。

  1. レコードプレーヤーからキャプチャ
  2. キャプチャしたWAVファイルを曲毎に分割とトリミング
  3. ついでにMP3 320kbps版を作成(ポータブル使用のため)
  4. Gain調整(Gainが違うとDAPのボリューム調整など面倒なため)

大変というか面倒なのは、レコードからのキャプチャは曲のリアルタイム時間が必要であることだ。アナログなので仕方がないのだが、キャプチャしている間は振動などに気を付けないと針飛びの原因にもなる。

しかも今回は2種類のキャプチャハードと2種類のアプリがあるので何度も行う必要があった。

ファイルの分割とトリミングについてはMac上でやってみた。「QuickTime Player」でもできるのだがあまり細かい作業には向かない。こちらは「Pro Sound Ripper」の方が色々と細かい編集もできるのでお勧めできる。無料版は機能制限があるが、制限というよりは有料版にはプロユースに耐えられる編集機能があると言った方が良いだろう。今回のような使用であれば必要十分だと感じた。

試聴してみた

ここまでで丸二日。なにしろレコードの洗浄と乾燥もあったのだから仕方がないところ。

まずは「I-O DATA AD-USB」でキャプチャしたもの。結果から言うと特に問題はない。付属の「Pod Sound Ripper」のバージョンを最新のものにアップデートする必要はあったが、エンコードファイルの選択などの操作で迷うことはない。非常に簡易なソフトウェアであることも一因だが、そもそも機能がそれほど多くない。これなら初心者でもすぐに使えるだろう。

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肝心な音質だが、これも十分。正直に言えば、CDよりは劣ることを想定していたが、まったく遜色ない。曲の最初と最後の編集タイミングでレコードプレーヤーの針が拾うノイズがあるとそれがレコードからであることを感じるが、曲が流れていれば気づかないだろう。

 

次ぎに「WavePad」を試してみた。こちらはWindowsとMacでそれぞれ試してみた。まずは使い慣れたMacから。こちらは音質がまったくダメ。籠もって割れていてとても聴けたもんじゃない。次ぎにWindowsで試すが、こちらは良好。音質もほとんど変わらないが、若干、ほんの少しだけだけれど艶があるような気がする。ただ、こちらはノイズもしっかりと聞こえるのがネックだ。特に曲と曲の間にパルスのようなノイズが入る。それが小さな音量からの曲だと少し被ってしまう。流石にここはトリミングできない。色々と試してみたが結局諦めた。

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総じて

操作の簡易性、音質のバランスが取れているのは「I-O DATA AD-USB」の方だ。「Princeton PCA-ACU」の艶も捨てがたいが、トリミングやらしていて疲れ果ててしまった。それに艶と言ってもカスタムIEMで音量を大きめにしてやっと感じるか感じないかの程度。普通の音量で普通に聴いていれば曲間のノイズの方が遙かに気になるレベルだった。

また、レコードのデジタル化という視点で考えても、録音中の音が確認できることなど利点がある。レコードのデジタル化自体、あまり頻繁にあることではないが僕なら「I-O DATA AD-USB」だ。

まあ一番問題なのは、安価なMacの機材が無いというところだろうか。ハイレゾも視野に入れればもっと高価な機材でやれば良いのだが、そこまでレコードのデジタル化に費用をかけるのも何か違う気がする。それであれば優秀なプレーヤー、アンプ、スピーカーでレコードの生の音を楽しむのが正しいのだろう。

とにかく、これで廃盤になったレコードの曲を気軽に楽しめるようになったのは非常に喜ばしいことだ。作業自体はそれなりに面倒なのであまり頻繁にはやりたくないけどね。っつーかコリゴリ(^_^;)